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産直放浪記

全国各地の直売所で見たものたち

道の駅 つる

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山梨県都留市に11月5日にオープンしたばかりの直売所。奥に見えるのはリニアの実験線と山梨県立リニア見学センター。わずかばかり、オープン前に関わったので気になっていた直売所なので、念願かなっての訪問となった。

 山梨県都留市は人口3万人の小さな街ながら、江戸時代には谷村陣屋が置かれ甲斐四郡のうち都留郡の中心として栄えた街。昭和初期は甲斐絹の産地として養蚕と織物が盛んだったが、養蚕衰退後の農業は県内の他地域に比べて低調で、農業生産額はわずか5億円弱という地域(それでも近隣の大月市上野原市よりは多い)。そんな地域でどんな道の駅になるのか心配すらしていた。

 

山梨県は山に囲まれているだけあって、水が豊かな県(水害も多いが)。ミネラルウォーターの生産量はダントツ日本一。特に都留市を含む旧南都留郡は富士山の伏流水が豊富なため、かつては水道料金が日本一安かった時代もあった。その水を活かした特産品が、淡水魚養殖、ワサビ、水掛け菜。 f:id:konpoco:20161209185454j:plain

市内には養殖場が5ヶ所あり、ヤマメなどの養殖をしている。ワサビ園は1箇所だけだけど、湧水の湧く斜面を活かしたワサビ田がある。道の駅では目立つ台にそれらが陳列。

 

水掛け菜は12月から収穫が始まるのでまだ出荷されていなかったけど、冬場の貴重な野菜。稲刈り後の田んぼに畝を立てて、その間に水を入れて栽培する。500m近い標高で冬場は氷点下にさらされるなかでも、富士の湧水は12-3度と一定の水温を保っている。つまり、水温のおかげで寒いなかでも菜っ葉が育つという、まさにこの土地ならではの野菜。寒さの中で引き締まった歯ごたえと甘味、わずかな辛味が美味。山梨県の郡内地域と、静岡県北駿地域の名産。

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↑これは今回ではないけど、水掛け菜のおひたし。こういう菜っ葉。

 

道の駅の売りのひとつが豚肉。市内に一軒だけの養豚農家がそだてた豚で「富士湧水ポーク」の名で売られている。ここでアルバイトをしていた学生が絵本を出版したこともある。これまで市内では買うことができなかった豚肉が道の駅だけで手に入るようになったそうだ。いい値段するけど美味そう。ただし、生肉を持って帰るのは厳しいので観光客向けではない…。

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観光客向けにはこちら、富士桜ポーク(湧水ポークとは別)のカツサンド。このボリューム感!そして柔らかくて脂身が甘い。パッと見では高く感じるけど、東京の有名店のカツサンドを買ったと思えば、お得感すらある。

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意外なことに果樹がたくさんある。驚いたのはキウイ。それにユズも。

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食用ホオズキもあった。

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山梨のB級グルメといえば甲府の「鶏モツ煮」が有名になってるけど、郡内(山梨県の東部富士五湖地方の総称)は「吉田のうどん」がある。かつては富士宮焼そばと天下分け麺の戦いを繰り広げたうどんだが、都留もその流れを汲んだうどんがある。

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↑これも今回ではないけど、市内の某うどん店のうどん。固い。茹でキャベツと馬肉がのっているのが基本。

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そしていつの間にか「谷村ブラックうどん」なるものもできてた。道の駅の表でジェラートを出しているのと同じ会社がつくっている。炭の会社なので、炭を入れたブラックうどん。定着するか??

 

郡内のうどんに欠かせないのが「すりだね」という辛味。店によって味が違うが激辛の練りトウガラシがある。市内の有名店の「すりだね」も買える。

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 ここからやっと農産物の話題。水田になる平場が少ない郡内地域にあって最も水田面積が大きいのが都留市。なるほど城下町が形成されて、代官所が置かれたのもわかる。谷村藩秋元氏の城下だった時代に、谷村大堰が築かれて水路が引かれ、道の駅のある大畑地区は穀倉地帯となった。桂川(神奈川県に入ると相模川)はかなり低いところを流れているので、実際に川を見ると、いかにこの堰が重要だったかわかる。都留市の水のまちとしての面はこちらも参照。

水が美味いから、コメも美味い。ミルキークイーンもかなり早い時期から作っている。

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そして、都留と言えば「アオハタ大豆」という隠れた名物もある。伝統野菜?在来品種?なのかはよくわからないけど、この青大豆をつかった豆腐もある。水が美味いから豆腐も美味い。大手の豆腐工場もあるし、街の豆腐やさんも美味い店がいくつもある。

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 米粉パンも並ぶ。人口あたりの飲食店数で全国でも上位に位置する山梨県にあって、特に都留市は学生街ということもあって飲食店が多い。そしてパン屋も多い。この米粉パンを出している店はもともと市内のレストランだったところ。アレルギー対応のために全国的にもかなり早い時期に米粉100%の米粉パンを売り出した店。

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左のシャインマスカットの干しブドウは仕入れ品だけど、カキチップは地元産。素朴なパッケージがいい。

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思ったよりも野菜も充実。半加工のゴボウも。

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豊富な美味しい富士の伏流水に恵まれているため、植物工場もある。この一角は植物工場の葉物野菜。アイスプラントに「天ぷらに最適」のキャッチコピーが…その発想はなかった!こういう珍しい野菜は割とサラダ向けと書いてある場合が多いけど、地方では天ぷらの方が馴染みやすいと思う。

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季節がらイモも充実。タケノコイモの手書きのメモがいい。意外にも芋茎が売っていない。山梨にはそういう文化がないのかな…?

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野菜のジェラートも目玉商品。寒いから食べなかったけど。

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まだまだ仕入れ品が多く、地場産率が低い印象だけど、それでも頑張って大月や上野原など郡内産を入れている感じ。朝方に行ったにも関わらず、来客はまばらだった。店や棚のつくり、価格設定は観光客向けなので、これからのシーズンはしばらく苦戦するかもしれない(特に名物の水掛け菜が冬場のもなのもネック)。おにぎりとか惣菜がもっと増えたら、いいのにな。水掛け菜が収穫されればその加工品も出てくるはずなので、まだまだ勝負はこれから。行く末を見守っていきたい。

 

なお、お越しの際は中央道の都留I.Cではなく、大月I.Cが最寄りです。

www.1000nentsuru.com

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